長年お付き合いをさせていただいている静岡某所の楽器工房が、台風15号による豪雨で浸水被害を被ったとの連絡がございまっした・・・。材料も濡れてしまったらしい・・・。これはちょっと大変だ・・・。
先週の三連休も台風14号が列島縦断したわけで、つ~か何でいっつもいつも週末に台風がやってくるのだろうか?
確か2018年の台風24号だったと思うのでっすが、関東を直撃する可能性がオイラが国葬される確率よりも遥かに高かったため、お店史上初の臨時休業をしたことがございます。曜日はずばり土曜日っ!なんなんだろう???
さて、冒頭の音源はAlfonso X el Sabio(アルフォンソ10世 カスティーリャ王)編纂による有名な“Cantigas de Santa Maria(聖母マリアのカンティガ集、もしくは頌歌集)”でっす。
旧愚ブログの初期、つまり、15年程前にこれについては一度書いているんでっすが、オイラの秘蔵中の秘蔵楽譜ということもあり、再度書きまっす。
原曲は非常に難解なネウマ譜で書かれちょるのでっすが、1943年にスペインの音楽学者、Higinio Anglés(イヒニオ・アングレス)によって現代譜に復刻1されたことにより、演奏されるようになりまっした。
それを元にクラシック・ギターのために素晴らしいアレンジをされたのが、ギタリストの故 芳志戸幹雄先生でっす。
この“聖母マリア頌歌集”2のアレンジは本当に素晴らしく、ギターピースが全音楽譜出版社から出版されたためレパートリーにされている方も多いと思いきや、永らく絶版状態となっておりまっした。
しかし、2019年に同出版社より刊行された“全音ギターピース復刻セレクション~愛のロマンス~”に収録される形で復刊っ!お持ちで無い方は是非、お求めをっ!
んで、日本では芳志戸先生の名アレンジは広く知られていまっすが、世界的には芳志戸先生の師である大巨匠、Narciso Yepes(ナルシソ・イエペス)による演奏、録音の方が有名かもしれまっせん。
動画をご覧いただくとお分かりのとおり、芳志戸編とイエペス編は非常に良く似ていまっすが、イエペス編の方が短いっす。
古い時代の曲でっすから著作権等は当然ながらなく、アレンジ譜の出版は難しくないはずなのでっすけど、誠に意外ながらイエペス編による“聖母マリア頌歌集”のアレンジ譜は遂に出版されることはございませんでっした。何で?
以下はあくまでもオイラの想像(もしくは妄想)でっす。
芳志戸先生はご生前、自身のアレンジによるこの“聖母マリア頌歌集”を持ってイエペスのマスタークラスを受講されたそうでっす。
その時、その素晴らしいアレンジに感銘を受けたイエペスが、芳志戸編を底本にイエペス流のアレンジを施して演奏、録音をしたと思われまっす。
恐らくイエペスのエディションを刊行しているドイツの老舗出版社、Schottあたりでは出版の話はあったのではなかろうかと推察いたしまっす。
が、実は芳志戸編の冒頭部分(小節にしますと4小節分)は芳志戸先生のオリジナル、つまり作曲なのだそうでっす。それをほぼそのままイエペスは演奏しちょりまっすので、流石に出版するのはまずいっすよね。
以上でございまっす。
例によって前置きが長くなってしまいまっしたが、旧愚ブログでオイラ秘蔵のイエペス編の手稿譜をご紹介しまっした。
どのようにこの手稿譜を入手したのかについては余り詳らかには出来ませぬが、当時(15年前)、たまたまメールのやり取りをしていた某外国人の方にいただいたのでございまっす。
何でもその方のお父様がイエペスのコンサートでこの曲を聴き、感動のあまりコンサート後にイエペスに会いに行って楽譜の出版の有無を訊ねたら、「出版はされていないので今ここで楽譜を書きますね」と書いてくれた楽譜だそうでございまっす。まぁ、本当かどうかは分かりませんが・・・。
ただ、楽譜の書き方は間違いなくイエペスの筆致かと思われまっす。
大昔にイエペスの手稿譜のまま出版されたAntonio Ruiz-Pipó(アントニオ・ルイス=ピポー)の有名な“Canción y danza No.1(歌と踊り第1番)”の譜面をご覧下され。
とても特徴的な符玉の書き方でっすね。
という訳で、貴重なイエペス編の“聖母マリア頌歌集”も是非、弾いてみて下っさい。オイラは個人的にはやっぱり芳志戸先生のアレンジの方が好きっ!
Alfonso X el Sabio(アルフォンソ10世)編纂~Narciso Yepes(ナルシソ・イエペス)編/“Cantigas de Santa Maria(聖母マリア頌歌集)”(PDF)※手稿譜
※手稿譜には記されていまっせんが、⑤=Gでっす。6弦は一切使用されまっせん。
※6弦は使わないのでっすが、⑥=Dにしておくと倍音がキレイに響くかと思われまっす。
脚注
- 現在は絶版。近年、スペインの研究家、Roberto Pla(ロベルト・プラ)による新解釈の楽譜が出版されちょりまっす。
- 日本のクラシック・ギター界ではこの呼称が一般的なので、以下統一いたしまっす。



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