もし将来、今一度人間に輪廻転生することが可能だったとしたら、オイラはまたギターを弾きたいと思ふ。
で、ギター以外の楽器ならチェロが良いなとも思ふ。動機は単純でチェロの音が好きだからでっす。
冒頭の動画は旧ソビエト連邦出身のチェリスト、指揮者として名高い大巨匠、Mstislav Leopoldoviç(ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ)によるJ.S.バッハの傑作、“無伴奏チェロ組曲”の第1番 ト長調 BWV1007の演奏でございまっす。素晴らしすぎっ!
オイラは特にこの作品の1曲目である“プレリュード”にはある思い出がございまっす。
作家、三木 卓氏が1975年に上梓された破傷風に侵された少女と両親の苦闘を描いた小説、“震える舌”を名匠、野村芳太郎監督が映画化し、1980年に同タイトルで公開されたのでっすが、この作品の中で非常に効果的にこの“プレリュード”が使用されておりまっしてね、
破傷風に侵された少女役を演じた若命真裕子さんの鬼気迫る天才的な演技も相まって、当時、ホラー映画を観まくっていたオイラでさえ軽くトラウマを覚えるほどでございまっした。
ちなみに当時はこの曲がJ.S.バッハの“チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007”の“プレリュード”と知りまっせんでした・・・。
バッハの奥様、Anna Magdalena Bach(アンナ・マグダレーナ・バッハ)による手稿譜はこんな感じでっす。
近年はバッハの“無伴奏チェロ組曲”全6曲をギターソロにアレンジして演奏、録音されるのは普通になりまっしたけど、以前は第1番BWV1007、第3番BWV1009がギターで弾かれる定番でっしたね。
原調はG Major(ト長調)なのでっすが、ほとんどのアレンジは完全5度高いD major(ニ長調)でされることが多いっす。
エゲレスの著名(クラギ界でな)なギタリスト・コンポーザー、John.W.Duarte(ジョン・W・デュアート、1919-2004)の有名なニ長調アレンジの楽譜冒頭はこんな感じでっす。
イタリアのギタリスト、Edoardo Legnaro(エドアルド・レニャーロ)によるデュアート編の演奏動画をどうぞ。
チェロ原曲のような深い響きでは無いのでっすが、ギターによる演奏では耳慣れた調でありまっす。
ドイツ在住の巨匠、佐々木 忠先生は原調の深い響きを考慮し、長2度高いA major(イ長調)でアレンジされておりまっす。アレンジ譜の冒頭はこんな感じでっす。
佐々木 忠先生ご本人の演奏動画をどうぞ。
かなり原曲のイメージが再現された素晴らしいアレンジだと思いまっす。
原調のト長調は通常、ギターにとって弾きやすい調なのでっすけど、意外と原調によるギターソロ・アレンジって無いんでっすよね。
オイラが知る限りギタリスト、吉住和宏さんのアレンジが唯一ではないでしょうか?
⑥=C、⑤=G、②=Aという変則チューニング1が使用されておりまっす。
皆様ご存知の通り、チェロのチューニングは低音から C(ド)、G(ソ)、D(レ)、A(ラ)でございまっすので、極めてチェロ・チューニングに近い変則チューニングにすることによって、原曲の響きをとことんギターで再現されちょりまっす。
まぁ、最終的には弾かれる方の好みもございまっすので、絶対に原調でなければダメっ!という事はござりまっせん。
この原調でのアレンジ譜はこちらで購入可能でっす。
デュアルテ編のチェロ組曲はジョンがデビューアルバムで弾いてますね。3番はセゴビアが全曲弾いているし、当時はデュアルテ編が定番だったのですね。小船版もありましたが、あれはちょっと使えなかったですね。
けんいちさん
コメントをいただきありがとうございまっす。
>デュアルテ編のチェロ組曲はジョンがデビューアルバムで弾いてますね
そうでしたそうでした。昔はデュアート編が完全に定番チェロ組曲楽譜でっしたね。
音楽之友社から刊行されていた小船幸次郎先生のアレンジは確かに・・・。色んなところが???で弾けないという・・・。