あれは私が中学2年生の頃と記憶しております。
当時、JR小岩駅の駅ビル、“シャポー小岩”に“新星堂”がありました。
ギターを始めてまだ1年ちょっとの頃なので、全然まともに弾けぬギター小僧でしたが、この“新星堂”には大体毎月1回、なけなしの小遣いを握りしめてクラシック・ギターのレコードを買いに行ったものです。
過日、いつものように“新星堂”を訪れますと、当時としては大変珍しくお店の入口近くに大画面のテレビが設置されておりまして、あるライブ映像が流れておりました。
一人のギタリストがエレクトリック・ギターのソロを弾いている場面だったのですが、子供心にもその尋常ではない超絶技巧でギターを弾きまくるギタリストに一瞬で心を奪われてしまいました。
セーハ(バレー)の音が鳴らないっ!と、四苦八苦していた私からすると、特に左指の動きがとても人間技とは思えず茫然自失となりました。
す、凄いっ!この人は一体誰???
そのお方は程なく世界的なギタリストとして名声を博す事になるジャズ・ギタリスト、渡辺香津美さんでした。
今振り返れば1979年にリリースされた傑作アルバム、“KYLYN”のプロモーションとして流されていた動画だったのかもしれません。
その日を境に渡辺香津美さんは、私にとってギターヒーローのお一人になったことは言うまでもありません。
多くの方々がご存知の通り今年の2月、渡辺香津美さんはご自宅で脳幹出血のため倒れられました。
4月になって漸く意識が戻られ、その後、回復期リハビリテーションに特化した病院に転院されたまでは存じていたのですが、昨日、10月になって自宅に戻られて在宅療養をされているニュースを知ったのですが、渡辺香津美さんの置かれている現状が余りにも過酷で、今日もずっと鬱積した心持ちを抱いております・・・。
一日も早いご回復をと、軽々しく言うのも憚れます・・・。
奥様で作曲家の谷川公子さんも現在、筆舌に尽くし難い介護生活を送られていらっしゃるでしょうし、何よりも渡辺香津美さんご本人のお気持ちを思うと・・・何も言えません。
遣る瀬無い・・・。
【追憶】
もう、かれこれ20年数年前に某クラシック・ギタリストのコンサートに行ったのですが、ホールのロビーに渡辺香津美さんがいらして、吃驚した拍子に面識も無いにも関わらず思わず会釈をしてしまいました・・・。
すると、香津美さんはつかつかと歩いて来られ、「何処かでお会いしましたっけ?」と優しく声を掛けて下さって、当然ながらお会いしたことなど無い私は、少年時代の憧れのギタリストを目の当たりにして一気に緊張し、しどろもどろで、「カクカクシカジカ、現在は◯◯という楽器店に勤務しております✕✕と申します・・・」と震えながら応えました・・・。
握手もしていただいたのですが、失礼ながら吃驚するくらい小さな手の方でした。でも、あの手で素晴らしいギターを奏でられるんですよね。

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