旧愚ブログに“九死に一生シリーズ”なんてものがありました。正に文字どおりでありまっして、例えば階段から落ちて顔面を強打したり、やはり階段から滑り落ちて、咄嗟につかんだ菱形状のアクリル板の角を左手で思いっきり握ってしまった結果、親指と人差指の間をざっくり切ってしまったり、交差点で急に左折してきた車に足を踏まれたり、前日の大雪で学校近くの下り坂道で滑って、車の往来が絶えない街道にそのまま突っ込みそうになったりと、一歩間違えば向こう側の世界に行ってしまっていてもおかしくなかった数々の遭難について綴りまっした。
旧愚ブログはデータをぶっ飛ばす前までに3,000以上の記事を投稿しておったのでっすが、実は最も購読数が多かったのが、このシリーズの第1弾で書いた“親知らず抜歯編”でございまっした。
もう20数年前のお話なんですけんど、オイラがこれまで体験した痛みの中で今でもダントツの第1位でございまっす。
ということで、今回あらためてこの件を書こうと思いまっす。
初めて親知らずを抜歯される方や、将来的に抜歯をせねばならぬ方々にある種のトラウマを与えてしまうかもしれませぬが、このお話はオイラの少し特殊な体質に由来する部分もございまする故、ご安心なされたし。
かなりエグい表現もございまするが、お話としては今でこそ笑えるものでありまっす。目を閉じれば、あの日あの時の記憶はまるで昨日のことのように思い出されまんがな。
19XX年某月某日。
長年放置していた右上奥から2番目の虫歯が自然に割れてしまい、遂に苦手な歯医者に行かねばならぬ事態になってしもた・・・。
行きつけの歯医者さんは小岩界隈では名医として知られるT先生で、それまでにも何度かお世話になっておりんした。
で、久し振りに先生にお会いして事情を説明し、実際に診察をしていただくと予想どおり
あぁ~、何でもっと早くに来なかったのっ!
そうすれば、歯を抜かなくても済んだのにっ!
と、怒られまっした・・・・。T先生は滅多なことでは抜歯をしない先生だったのでね・・・。
で、ボロボロの状態でっしたから抜歯はごく簡単に終了。
が、実は診察前に撮影したレントゲン写真に上に2本、下に2本の親知らずがクッキリハッキリと映っていたのでございまっす。で、T先生は徐に
上の親知らずはキレイに生えているから、
来週と再来週に抜いちゃおうっ!
と宣われた。
なわけで、T先生に怒られるのは嫌なので真面目に通院し、無事に上の親知らずを抜歯。2本ともいつ抜かれたのかわからんくらい簡単に作業が終了した。
問題は下の親知らずでありまっして、いずれも通常の奥歯の後ろに鎮座しており、しかも、通常の奥歯に向かって(つまり、奥歯を押すように)生えておったのねん・・・。
左側は既に親知らずが完全露出しており、T先生の医院の設備でも何とかなるだろうとのことで2週間後に抜歯と相成りんした。
正直、この親知らずの抜歯は結構大変ではあったのでっすが、さすがは名医の誉高いT先生の巧みの技により、それほどの痛みを感じる事もなく無事に抜歯完了。
もちろん、抜いた跡の歯茎の傷跡は縫合をされたので、1週間後に抜歯後の抜糸(洒落ぢゃねえんだよ、兄弟)が控えておったけど。
さて、残るは右下奥の親知らず1本のみとなったわけでっすけど、この時点でこの親知らずは完全に埋没していて手の施しようがないないので、暫く様子を見ようということになり申した。
それから約1年後・・・。
どうも、この右下の親知らずのあたりに何とも言えない鈍痛が走るようになり、心なしか歯茎も腫れてきよったのね。
こりゃヤベェかも・・・。
と思い立ったオイラは1年振りにT先生の元へ向かったのでございまっす。
T先生はオイラの口腔を一瞥するや否や
だいぶ歯茎が化膿してるなぁ・・・。
で、親知らずは全然埋まったままかぁ・・・。
どうしよ?
と、名医らしからぬ事を宣われるぢゃねぇですか・・・。
どういう事態になっていたかというと、この1年で右下の親知らずは埋まったまましっかりと成長を続け、現在進行系で通常の奥歯をグイグイと押している状態になっており、力のベクトルが上に向かってしまった結果、親知らずと通常の奥歯の境目に裂け目が出来、そこに食べ物の滓が入り込んで炎症を起こしていたのね。
いずれにしろ、T先生の医院の設備では施術が無理ということになり、口腔外科に関して卓犖の技術を誇る(T先生曰く)水道橋のT病院への紹介状をいただき、その足で向かったのでありまっす。
受付を済ませ、程なく呼ばれたので診察室に入ると、そこには年齢は20代半ばであろうが、どう見ても小学校3~4年生位にしか見えない小柄な女医さん(以下、ロリータ先生と称します)がニコニコ笑顔で待っていらっした・・・。
んで、早速診察をしてもらうと、やはり歯茎がかなり炎症で腫れており、折しもその時は12月半ばだったので年内は腫れを抑える薬を内服し、年明け早々に施術しましょうということに決定!
さて、運命の1月。
薬の効果で歯茎の腫れはすっかり鳴りを潜め、万全の体制でT病院に赴いたオイラ。
早速、麻酔注射を1本打ってもらったのでっすが、実はオイラはなぜか子供の頃から歯医者さんの麻酔注射が効きづらい体質でありまっして、その旨はロリータ先生にも報告しておりまっした。
5分程しても一向に麻酔が効かぬため、更に1本注射。更に5分ほど待つも、僅かに効いている感じはするもののフルには効いておらず、更に1本、つまり、計3本の注射を打ってようやく麻酔が完了。
さて、ここで問題でっす。
右下の親知らずは未だ埋まったままの状態で全く外に露出しておりもはん。それを一体どうやって抜くのでしょうか?
答えはただ一つっ!
歯茎を切開して抜くっ!
はてさて・・・。これから以降はかなりエグい表現も出てきまっすので、苦手な方はスルーして下っさい。
歯茎を切開して親知らずを露出させることはわかったのでありんすが、その後どうやって歯を抜くのか素人のオイラには全く想像がつかなかった・・・。
で、ロリータ先生は満面の笑みで
まず歯を機械で上下に4分割しますねぇ。それから、頭の部分(通常の奥歯に触れている部分)を一つ一つ抜いて、最後に根っこの部分をまた一つ一つ抜いていきますぅ。全部抜けましたらその後、傷口を縫合しまぁ~す。
と舌足らずな感じでご説明くだすった。
根はチキン野郎なオイラは、その光景を想像しただけで頭がくらくら・・・。更に追い打ちをかけるようにレントゲン写真を見せながら
歯の下に白い線があるのが見えますかぁ?これは歯の神経の一部ですぅ。なるべく負担がかからないようにしますけど、歯を抜く時の衝撃で僅かに神経にダメージがかかるかもしれません。その場合、暫くの間、少し痺れるような感覚が残るかもしれませんが、ご了承下さい。
が、事ここに至っては全てをお任せするしかねぇ・・・。
という訳で施術が始まったのでありまっすが、さすがに麻酔が効きまくっておったので歯の切断中は衝撃を感じるだけで痛みは無し。あっという間に歯が4分割されまっした。
で、まず頭の部分の抜歯が始まったのでありまっすが、この時点でも結構大変でありまっして、ロリータ先生は「んふ・・・んふ・・・」と言いながら鉗子を振るうもなかなか抜けぬのよ。
恐らく頭の部分が全て抜けるまで30分はかかったと思ふ。さぁて、残るは根っこの部分である。
正直に言おう・・・。
地獄だった・・・。
ロリータ先生は顔を真赤にして鉗子と格闘するも、一向に抜ける気配がないのさ。で、オイラの胸中に一抹の不安が宿るって寸法。
途中で麻酔が切れたらどうなる・・・。
もうオイラの身体は緊張でガッチガチでありまっして、ロリータ先生に「体の力を抜いてください」と言われる始末。
それでもなんとか根っこの一つが無事に抜けまっした。オイラもロリータ先生も汗まみれっす。
少し休憩を入れましょう
とロリータ先生が宣われ、オイラは一旦口を濯ぎぐったり・・・。
5分後に再開したのでありまっすが、本当の地獄はここからでござんした・・・。
抜けぬ
のよ・・・。一向に・・・。そして、時間が経つにつれて
痛みが襲って来やがったっ!!!
その旨をロリータ先生に言うと、
ん、ん~~~。
麻酔が切れてきてしまったのかも・・・。
・・・。
ここからは一気呵成に行きましょうっ!とロリータ先生は宣うや、鉗子に渾身の力を込めてグリグリと引廻し始めました。その刹那、あまりの激痛にオイラの心の臓が一瞬、
どぉくぅ~ん
と脈打った・・・。冗談ではなく、マヂで走馬灯が回り始めたオイラ・・・。気が遠くなりかけた時、
と、取れましたぁ~~~~っ!
と、ロリ顔を紅潮させてガッツポーズを取るロリータ先生が微かな視界の中に浮かび上がったがな。
その後、傷口を縫合したはずなのでっすが、全然記憶にないっす・・・。全ての作業を終え、ロリータ先生は
だいぶ時間がかかってしまって申し訳ございませんでしたぁ。恐らく、帰りの電車の中で完全に麻酔が切れると思われますので、どうしても痛みが我慢出来なくなったら後でお渡しする薬を服用して下さい。ではでは、お疲れさまでしたぁ~。
ロリータ先生の言うとおり、小岩駅に着いた辺りで顔面が爆裂したんぢゃねぇか?っていうくらい激烈な痛みに襲われた。
それでもなんとか薬を飲まずに家(当時は実家住まい)に向かって歩いておったら、すれ違う人が皆一様にオイラを避けているような気がしまっしたが、痛みに我を忘れているオイラは一目散に家を目指す。
ようやっと家の玄関に辿り着いた時は痛みがK点を遥かに超えており、ふと洗面所で顔面を見ると
口中血塗れ
でのけ反った・・・。そりゃ、道行く人は避けるわな・・・。
いただいた薬を速攻で飲み下して暫く様子を見ると、嘘のように痛みが引いた。薬は偉大なり。
とは言え、それは一過性のものであり、翌日は人相が変わるくらい顔がパンパンに腫れ上がり、当然ながら痛みで顎が動かせぬので1週間ほど蕎麦やうどんを毎食食す生活に。
と言った顛末でございまっした。
もちろん、抜歯翌日から出社をしたのでっすが、まぁ、全然仕事が手につかぬわけで、また顔面問題もありまっすから、可能な限り対面での接客は他の人にやってもらったっけ。
勢いに任せて駄長文を書き連ねまっしたが、書きながら当時のことがありありと蘇ってもうた・・・。あぁ、もう二度とあんな痛い思いはしたくねぇ・・・。

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