
今朝は台風6号接近を鑑みて通常より30分早く家を出たのですが、特に電車が遅延することもなかったので9時前に店に着いてしまいました・・・。(営業開始は10時30分・・・)
家からJR小岩駅の間までがかなりの暴風雨だったので、足元がびしょびしょになってしまって気持ち悪いです。まだ乾かない・・・。(現在、14時43分)
とは言え、関東はこの後も大雨らしいので帰りもびしょびしょになってしまうんだろうなぁ・・・。本来、今日は音楽教室が3つ開講予定だったのですが、全て休講に。(ちなみに社員2人は休みになりました・・・。何でワタクシは出勤しているんだろう・・・)
そんな訳で店は開けているのですが、閑古鳥の声が煩いです・・・。
さて、ここのところ山下和仁さん関連のネタばかりを書いているのですが、今日も書きます。(お許し下さい)
山下さんの熱烈なファン、もしくはそうではないギター弾きの方でも、一度はあの“展覧会の絵”のアレンジ譜にチャレンジされた方は多いのではないでしょうか?
ワタクシも高校生の時にレコードを聴いて衝撃を受け、直ぐに楽譜も購入してチャレンジしたのですが、1曲目の“プロムナード”で一気に萎えてしまった記憶がございます。
「な、何でこんな難しいアレンジを弾けるのだろう・・・」
本当に“大きな壁”が眼前に聳え立ったような感覚を覚えました。
勿論、今でもまともに弾けぬのですが、もし、ワタクシが山下さん並に演奏出来る程の技術を獲得したとしても、このアレンジを山下さんのように演奏しようと思ったら、もう一つ“大きな壁”を乗り越えなくてはなりませぬ。
それはチューニングでございます。
楽譜に目を通された事がある方はご存知だと思いますが、下にそれぞれの曲のチューニングを記しておきます。
・プロムナード(1) ※⑥=D
・小人 ※⑥=D
・プロムナード(2) ※⑥=D・古城 ※⑥=D & ⑤=G
・プロムナード(3) ※⑥=D & ⑤=G
・チュイルリーの庭 ※⑥=D & ⑤=G
・ビドロ ※⑥=D & ⑤=G・プロムナード(4) ※⑥=D & ⑤=A
・卵のからをつけたひなの踊り ※⑥=E
・サミュエル・ゴールデンベルク ※⑥=D
・リモージュの市場 ※⑥=D
・カタコンブ ※⑥=D
・バーバ・ヤーガの小屋 ※⑥=D
・キエフの大門 ※⑥=D
このアレンジの基本チューニングは⑥=Dでございます。
上記の通り“プロムナード(2)”まではこのチューニングで演奏をしますが、続く“古城”で⑤=Gが加わります。
ナイロン弦は例えば高い音から低い音へ下げた場合、元に戻ろうとする性質がありますので、そのまま放置しておきますと段々音が#していきます。
⑥=D & ⑤=Gが“ビドロ”まで続くわけですが、⑤=Gが漸く落ち着いたと思ったら次の“プロムナード(4)”で⑤=Aに戻し、更に次の“卵のからをつけたひなの踊り”で⑥=E、つまり、この曲ではギターのレギュラーチューニングになるという凄まじい展開でございます。
更に次の“サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ”で再び⑥=Dにしなければなりません・・・。
もう、この段階で弦はかなり不安定な状態になっています。
しかもっ!
曲間でのチューニングの変更と、それに続く演奏をattacca(アタッカ=切れ目無く)で続けなければならないという、ギター弾きにとっては正に地獄のような展開と相成ります。
では、山下さんはこの問題をどうやってクリアしているのでしょう。
実演や演奏動画をご覧になられた方は既にご存知ですよね。
山下さんは変更した音を一切確認せず演奏されております。例として動画の“プロムナード(2)”~“古城”の5:23部分をご覧下さい
また、全体を通して観賞しますと、山下さんは演奏の途中で何度もチューニングが狂う寸前にほとんど本能的に補正しながら演奏をしているのが良く分かります。
“現代ギター 2026年6月号 No.753”の、山下さんの追悼特集における過去のインタビュー集で演奏中の調弦に関する記述がございます。
演奏中の調弦は、あれをしないと音が狂いますからね。しようがないですよね。無意識のうちにやっています。そんなに大したことはありません。あれは考えたら駄目なんですね。やっぱり何事も考えると時間がかかって間違えるんです。(笑い)[1999年10月号・38歳)]
無意識でやっているっていうのが凄いですね。なかなか出来ることではございません。
これはギターを始めた幼い頃から自然に実践されて身に付いたものではないでしょうか?
22:54から始まる“バーバ・ヤーガの小屋”の冒頭部分で、恐らく無意識のうちに左手が動いてしまったと思われる部分がございます。
休符の部分でされているのですが、

テンポが速い曲なので、結果的にチューニングの補正が間に合わず先に進まれていらっしゃいます。
初めてこの動画を観た時はもの凄くドキドキしました。普通だったら演奏が止まってしまうかもという、かなりデンジャラスなシーンでございます。
いやはや、山下さんが如何に別次元のギタリストだったか、あらためて感慨に耽るばかりであります。
山下さんと家族ぐるみのお付き合いがあったチェコの巨匠、Pavel Steidl(パヴェル・シュタイドル)の追悼文における
山下和仁さん、あなたが去って寂しさで胸がはち切れんばかりですが、あなたが私たちの惑星、すなわちこの地球を訪れてくださったことを光栄に思います。
という一文に深く頷いてしまうワタクシであります。


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