以前書いたように(ここ)オイラがギターを始めたのは小学校を無事に卒業し、中学校入学までの短い春休みの間でござった。11歳でござった。
それから5年後。
高校2年生の時の同級生で寺の息子であったH君は筋金入りのクラシック音楽ファンでっした。
当時、オイラはギター音楽にしか興味がない野郎だったのでっすが、ある日、H君が
クラシック・ギターをやっているんだったら、
クラシック音楽全般を聴いた方がいいよ。
いや、聴かなきゃだめだよ!
と諭され、でも、何を聴いたらいいのか全然わからんかったのでH君に相談したら翌日、何枚かのレコードを貸してくれたのでありまっす。
その中の1枚がHerbert von Karajan(ヘルベルト・フォン・カラヤン)指揮、Berliner Philharmoniker(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)によるMaurice Ravel(モーリス・ラヴェル)の“Boléro(ボレロ)”と、“Modest Mussorgsky(モデスト・ムソルグスキー)/“Pictures at an Exhibition(展覧会の絵)”が収録された所謂、名曲集だったのね。
誠に恥ずかしながら、2曲ともこのアルバムで初めて知ったのでありまっした・・・。
いずれも名曲でっすからすっかり魅了されてしまい、
やっぱ、オーケストラはギターには無い迫力が
あってええなぁ
と大感動っ!
それから数日後。
いつものようになけなしの小遣いを握りしめて、地元小岩の新星堂にギターのレコードを探しに行った時に見つけたのが、あの山下和仁さんさんのギターソロ版、“展覧会の絵”だったのでありまっす。
これまた恥ずかしながら山下さんのことは当時、全然知らなかったものでっすから
え?この間聴いた“展覧会の絵”を
ギター1本で弾いてるの?嘘だろ?冗談だろ?
と思いつつ結局購入し、早速家に帰って聴いたのでっすが、オーケストラ版以上に
激感動っ!
してしまったオイラ。
これまたこれまた恥ずかしながら、ほぼ同時期に小岩の書店で“現代ギター”という雑誌があることを知り、そこに山下さんの“展覧会の絵”のアレンジ譜の情報が書いてあって速攻で楽譜を購入。
今でもハッキリと覚えちょるのでっすが、ワクワクしながら早速1曲目の“プロムナード”を弾いてみたのでっすが、
ひ、弾けねぇ・・・。全然、弾けねぇ・・・。
いきなり挫折したのでありまっした・・・。
一応、全曲に目を通してみたのでっすが、1曲として気楽に弾ける曲がなく、なんでこの激ムズのアレンジをすらすら弾けるのか全く理解出来なかったっすな。
以後、弾けないとはわかっておっても時折楽譜を取り出して弾くという事を数年に渡って続けておりまっした。
そんなこんなで大学に入学してギター部に入部し、これも以前書いたように先輩の鶴の一声でフラメンコ・ギターを弾かなければならなくなったわけでっすが、その頃も気が向くと“展覧会の絵”にチャレンジしておりまっした。
あれは大学3年の時でしたか。
ギター部員勧誘の目的で大学内のホールでギター演奏のデモンストレーションを部員全員でやったのね。
クラシック・ギターのソロ、フラメンコのデュオ、ギターアンサンブルなんかを披露したのでっすが、実はオイラはこの時に何故かフラメンコを弾かず、“展覧会の絵”の1曲目の“プロムナード”と“小人”を弾いたのでありまっす。
無謀過ぎるにも程があるわいな・・・。チャレンジャーだねぇ・・・。オイラも若かったねぇ・・・。
なんで弾いたのか記憶が曖昧なのでっすが、多分、後輩のN君に弾いてくださんしとお願いされて渋々弾いたと思ふ。
が、これが奇跡的に上手く弾けてしまってすんごくウケたのっす。
かれこれ40年近く前のお話なんすけど、ぢゃあ今現在、オイラは“展覧会の絵”を全曲弾けるようになったかと言うと
未だに歯が立たぬ・・・。
かつて、このアレンジは山下さん以外には弾けぬと言われておりまっしたけど、近年はMarko Topchii(マルコ・トプチ)や
Jorge Caballero(ホルヘ・カバジェロ)や
といった、優れたギタリストの方々による全曲演奏が立て続けに発表されちょりまっすね。すんげぇ時代になったもんだなぁ。
ただ、生意気を言わせていただければ山下さんの演奏のようなシンフォニック、且つ、激情迸るヴォルテージによる演奏表現は唯一無二であり、そういう意味では今後もこういうギターを弾くギタリストは出て来ないかもしれまっせぬ・・・。

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