
ぎっくり腰はほぼ、日常生活において全く問題ないくらい回復いたしまっしたわい。
とは言え、椅子から立ち上がる時などは1月2日夜の悪夢のフラッシュバックが未だにあり、すんごく怖い・・・。また、あの痛みに責め苛まれたらと思ふとガクガクブルブルっすよ。
で、いつものように話は唐突に変わりまっすが、普段、あまりテレビ番組には興味が無いワタクシなのでっすが、毎回楽しみにしているのがテレ朝の“芸能人格付けチェック!”でありまっす。
ぎっくり腰になる前日、つまり元旦に“芸能人格付けチェック!2025お正月スペシャル”が放送されまっしたけど、今回も面白かったなぁ。
んで、このスペシャル番組では大体毎回、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの歴史的名工の貴重な作品による演奏と、趣味レベルで音楽を嗜む方向けの現代の製作による作品による演奏との聴き比べがチェックの一つして取り上げられるんでっすが(そう言えば、クラシック・ギターの時もあったな)、今回はなんと“弦楽八重奏”でのトライとなり、その名器の総額は番組史上最高額の
79億5千万円!
対する現代作品の総額は500万円の楽器でございまっした。
価格だけで比較すると500万円はすんごく安価に感じまっすけど、普通、おいそれとは購入は出来ぬ高額でっすよね。
今回、オイラも目隠しでトライしてみまっしたけど、テレビからの音ではなかなか判断が難しいのでっすが、素直に良い音だなと思ふたのは総額500万の楽器でっした。
番組の趣旨からするとオイラは不正解だったわけでっすけど、忌憚無く言わせていただければ、間違いなく音は500万の楽器の方が良かったと今も思ふておりまっす。
まぁ、億単位の価格設定は骨董としての価値も付加されているわけで、決して高額≒凄い楽器とは限らんと思ふのはオイラだけだろうか?
正直、ヴァイオリン系の楽器の世界のことはよくわからんのでっすが、単純に考えまっすと、例えば誰もが名前を知っているであろう“Stradivarius(ストラディバリウス)”なんかは一番古いものになると製作されてから300年以上を経ており、しかも、オリジナルのまま現存してる楽器は何挺存在しているのでせうかねぇ。
当時は弦が現在のようなスチール弦ではなくガット弦でっしたし、弓も現代のモダン・ボウとは形状も毛の本数も全く違いまっする。
ガット弦仕様のヴァイオリンは現在、“バロック・ヴァイオリン”と呼ばれておりまっして

見た目的にはモダン・ヴァイオリンにはある“あご当て”が無いっすな。その他、ネックはモダンより細め、ブリッジはモダン・ヴァイオリンの方がより鋭角な仕様になっちょりまっす。
確かに長い年月を重ねて木も程よく枯れて、練られた音にはなっているとは思ふのでっすが、だからといって新しい楽器の音がダメって事はないと、オイラのような素人は思っちゃうんだよね。
ぶっちゃけ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス等の擦弦古名器はそのほとんどが改造に改造を重ねられているわけで、オリジナルの音ではなくなっているんぢゃね?と、すちゃらかギター弾きは思ふわけでっすよ。
クラギの世界では例えばドイツの名器、“ヘルマン・ハウザー I 世(1882-1952)”の極上品を所有している方が、アクシデントで表板を激しく破損してしまったとしまっす。
通常、クラギの世界では可能な限りオリジナルの表板で何とか修復を試みるのでありまっすが、それが不可だった場合、残された手段は表板を新しく作り直すほかございませぬ。
ヘルマン・ハウザー 1 世はとっくの昔に鬼籍に入られておりまっすので、全く別の製作家に依頼することになりまっする。
ぢゃあ、実際に楽器所有者の方はどういう判断をされるかと言いますと、オイラの過去の経験では諦める方が多かったでっす。(もちろん、交換される方もいらっしゃいまっす)
何故かと言うと、純粋に“ヘルマン・ハウザー I 世”のオリジナル楽器ではなくなってしまうからでっす。
この辺りはヴァイオリンの世界とクラギの世界では考え方に大きな隔たりがあると思いまっす。
ヴァイオリンの世界では表板を別の製作家によって新しいものに作り替えるのは当たり前のようでっすが(あ、もちろん横板も裏板もね)、クラギの世界は可能な限りオリジナルのままで残すのが当たり前なんすよね。
これはそれぞれの楽器のコレクターにも反映されちょりまっす。
過去にフランスの名器、“ロベール・ブーシェ”の極上中古楽器が入荷したことがあったのでっすが、ブーシェ自作のマシンヘッドが故障して使い物にならなくなったので、元の所有者の方がブーシェ型マシンヘッドのレプリカに交換されておりまっした。
実用的な観点から言うと、楽器には全く問題がございまっせん。
が、この楽器に興味を持ってくれたメリケンのコレクターに写真を送ったところ、
楽器状態は最高ぢゃんっ!
でも、何でオリジナルのマシンヘッドぢゃねえんだっ!
とクレームが来よった・・・。
カクカクシカジカと理由を伝えたのでっすが、コレクター曰く、「ぶっ壊れていても、オリジナルのマシンヘッドが残されているのが望ましい」のだそうでっす。(まぁ、結果的に購入してくださったんでっすけどね)
ヴァイオリン関係の世界と全く真逆の考え方なのね。
また、少なくともクラギが億を超える価格になることは現状、有り得ないっす。何故か?
クラギにはそもそも、骨董としての価値基準が無いからかと思われまっす。
が、but、しかし、それほど高名ではないクラギが、例えばジョン・レノンが所有していた楽器で、「あのアルバムのあの曲の録音に使用された」という付加価値が加味された場合、価格が何千万になったり、下手をしたら億超えになる可能性は無きにしも非ず・・・。
反面、意外にもクラギのマエストロが、実際に録音やコンサートに使用した楽器だからという理由で何千万~億という価格になることは残念ながらござんせん。
実用的な音を出せる事を前提とした楽器寿命を鑑みまっすと、ギターは製作されてからブランク無く弾き継がれた場合、70年~80年くらいが限界なんでっすよ。
もちろん、それ以上の年数を弾くことは可能でっすけど、往時と比較すると音は明らかに腰が抜けた感じの音になりまっす。
その点、ヴァイオリンは遥かに楽器寿命は長いっす。前述の通り、改造を重ねるのが一般的だからでっす。
ギターの寿命がヴァイオリンと比べると短いのは、楽器を見れば一目瞭然でありまっす。
それは弦を固定するブリッジに秘密がありまっす。
ギターはブリッジが表板に直接接着されちょりまっすよね。で、クラギの場合、50~60Kgの負荷が常に表板にかかっているのでございまっす。(つまり、ストレスね)

ヴァイオリンはテールピースに弦が固定されるので、表板に負担がかかっていないのでありまっす。(駒の少し下に魂柱が立っているっすな)

この違いは大きいっす。
長年、楽器業界に身を置いておりまっすけど、未だにヴァイオリン等の擦弦楽器の世界は摩訶不思議でありまっす・・・。
コメント