ワシ、もうあかんわ・・・。
今朝、靴下を履こうと片脚立ちで身を屈めたら腰に激痛が走りました・・・。幸い、酷いギックリ腰にはならなかったのですが、本日は腰にサポーターを巻いて出勤。ビクビクしつつ仕事をしております・・・。
さて、現代ギター社のウェブサイトに山下和仁さんの追悼号を、5月23日発売予定の2026年6月号にて刊行するとの告知が出ておりました。
月間雑誌の特集の前倒し告知はあまり聞いたことがありませんが、追悼号はいつ出るのかというお客様からの問い合わせが殺到したためだそうです。
残された功績が功績だけに非常に内容の濃い号になりそうです。
ついでと言ってはなんですが、山下さんの知られざる(?)エピソードを一つ。
昔から山下さんのギター(ラミレス)の弦高が異様に高いという話題が上るのですが、これは紛れもない事実であります。
先日、いつもお世話になっている某製作家の工房へお邪魔した時に山下さんのお話になりました。
この某製作家の方は山下さんが20代の頃、度々、楽器のリペアや時には国内ツアーに同行して裏方的なフォローをされていたとの事。
ある時、その某製作家の方が楽器のリペアをしている時に「山下君。このラミレスの弦高はいくら何でも高過ぎでしょ。適正な弦高に直ぐ修正出来るよ」とアドバイスをされたそうなのですが、ご本人は頑なにこのままで良いと仰ったそうです。
ちなみにそのラミレスは6弦弦高が6mmを超えていたそうです・・・。(12フレットの弦高です。念のため)
ギターをお弾きになる方でしたらお分かりかと思いますが、普通は6弦弦高が6mm超もあったらまともに弾けません・・・。
一般的なクラギの標準的な6弦弦高は4mmですが、近年は3mm~3.5mmくらいに下げて演奏される方が多いと思います。1
4mmという6弦弦高設定は p(右親指)で限界を超えたタッチで低音部を弾いた時にビリツキ音が出る高さです。
ちなみに1970年代はクラギの6弦標準弦高は4.5mmだったそうです。
理由は低音を強く大きな音で弾いた時にビリツキ音が出ないようにという配慮らしいのですが、4.5mmという弦高でも押弦はかなり困難になります。ですので、80年代に入って0.5mm下げた4mmに定着いたしました。
実際は6弦弦高が4.5mmでも6mm超でも弾こうと思ったら弾けますけど、左指があっという間に疲弊してしまいますし、人によっては高確率で手を故障してしまう危険性がございます。
と、ここまで書いてふと思い出したのですが、山下さんのギターの弦高高過ぎ問題の件は旧愚ブログで確か書いていましたね・・・。
冒頭にJoaquín Rodrigo(ホアキン・ロドリーゴ)の“Concierto de Aranjuez(アランフェス協奏曲)”の演奏動画を貼りましたが、カメラが下方から演奏を捉えた時のギターの映像をよく観ますと、このラミレスも6弦側の弦高がかなり高いようにお見受けいたします。
実はワタクシは山下さんに初めてお会いした時(そのお話はここ)、この弦高高過ぎの件についての真意を生意気にもお聞きしたのでした。
理由は実にシンプルでありました。前述した強いタッチで弾いた時のビリツキ音の回避のためでありました。
ただ、山下さんの場合、当時は大きな音(ffやfff)を出す時に生ギターの限界を遥かに超えたタッチで演奏されていましたから、それでもビリツキ音が出ないためには6mm超の弦高じゃないとダメだったのであります。
ですが、例えばあの“展覧会の絵”のアレンジを弾いたことがある方でしたら共感していただけるでしょう。
6弦弦高が6mm超あるギターでは1曲目の“プロムナード”ですら、通しでちゃんと演奏するのは無理だと・・・。(標準弦高、低めの弦高でもワタクシはまともに弾けませんけどね・・・)
山下さんの手指の筋肉や筋は人間離れした頑強さを誇っていたとしか思えません。(実際はどうだったのでしょうね)
あれは2000年代初頭の頃でしたでしょうか。
アメリカでの演奏旅行から帰国された山下さんから店にお電話をいただきました。
いつものように「◯◯さん(ワタクシのこと)、お元気でしたか?ギターの山下です」と優しい声音でご挨拶をしていただき、「アメリカの演奏旅行から帰国をしたのですが、実はギターのマシンヘッドから異音がするようになってしまったので、これからお店に伺いますので楽器を見ていただけますか?」との事でございました。
1時間後くらいに山下さんがご来店され、早速、楽器(ラミレス)を拝見しました。確かに開放弦を鳴らすだけで高音弦側の方から異音が発生しました。
結局のところ、マシンヘッドのツマミ部分に少しばかり不具合があり、弦の振動によってマシンヘッドのツマミの軸の部分が共鳴してしまっていることが判明したので、適切な処置を施すことによって異音は無事に出なくなりました。
山下さんの愛用するラミレスに触れ、あまつさえ音まで出させてもらうという経験は今後無いであろうと思い(実際、これが最初で最後でした)、クラギの小品2を弾きつつ何気なく弦高を確認したのですが、この時のラミレスはワタクシが普通に弾くことが出来るごく標準的な弦高でございました。
何故、現在は昔のように高い弦高ではないのですか?
とは流石に聞くことは出来ませんでしたが、今振り返れば聞いておけば良かったですね。
64歳という早すぎる旅立ちからあっという間に2か月以上が経過しましたが、未だに信じられぬ思いであります。

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