
自慢ぢゃないっすけど、オイラは工作ものが大の苦手でっす。
故に小学生時代の図画工作、中学生時代の技術家庭の授業は余り好きぢゃなかったすなぁ。
稀に精密な絵を書いてみたり、プラモデルを作ったりもしまっしたけど、作っている過程は多少楽しめるのだけど、出来上がったものを見て大体幻滅するのな・・・。
なんて下手くそなんだ・・・。
と・・・。
木工なんかも図面を見ただけで頭が痛くなるわい。でっすから、仕事柄、楽器製作者の方々は須くリスペクトの対象になりまっする。
2011年3月11日。
あの東日本大震災の数日後、その10年ほど前にとある製作家のギターをお買い上げいただいたお客人から電話が入りまっした。
あの日、ギターを一頻り練習し、ギターをスタンドに立てかけて休憩がてら近所に買い物に行かれたのだそうです。
で、外出中に地震が来て、これは大変だと慌てて家に戻るとギターの上に様々なブツが落下していて、楽器を確かめると表板がヒビ割れ、特に酷かったのは横板で、かなりグシャグシャな状態になってしまったとのことでござんした。
数日後、その楽器をお持ちいただいたのでっすが、それはそれは酷い状態でござんした・・・。
表板のヒビ割れは大したことなかったのでっすが、横板は完全に陥没した状態でさすがのオイラもこれは修復はムズいと思うたもうた・・・。
一応、楽器をお預かりして、この楽器の製作家に取り敢えず写真で状態を見てもらったのでっすが、ギター1台を新たに製作するくらいの作業&時間&金額が必要との見立てでっした・・・。
その旨をお客人に伝えましたところ、予算的にどうしても無理なので諦めまっす・・・という結論に達したのでっすが、それではあまりにも不憫だと思ふたオイラは、特に割れの修復においては神業的な技術を持つ某製作家に見ていただく事にしまっした。
更に後日、この某製作家の工房に直接楽器をお持ちし、カクカクシカジカと前述したことをお話しまっしたら修理を快諾して下さり、しかも、かなり格安でやっていただく事に相成りもした。
冒頭の写真は横板の修復後の写真でござんす。
一見しまっすと、どこがグシャグシャになっていたのか分からぬほどの仕上がりでっす。
割れた状態の写真を撮っていなかったので比較出来ぬのでっすが、その状態を知っているオイラからすると奇跡としか言いようがないっす。

赤丸の部分が該当箇所でっす。
実は木片のいくつかは楽器が持ち込まれた時に欠落しておりました。
この横板の材はローズウッドなのでっすが、某製作家は修復にあたり手持ちのローズウッドで欠落部分と木目が近いものを選んで、ジグソーパズルの如く上手く接着をされておりまっす。
もちろん、その後に割れが生じないよう裏打ち1もしっかりなされておりまっす。
修復完了後の楽器を試奏しまっしたが、音にも全く影響が無く、しかも、ここだけの話、修復代金は5桁で済んだのであった。(通常ではあり得ない金額っす。某製作家の侠気に感謝っす)
当然ながら、お客人も感動のあまりウルウルされちょったなぁ。
オイラには絶対不可能な職人技っす。
コメント